STORY

とあるフィル・パークにまつわる話
〜新富町編〜

フィル・パークは、その1つ1つにストーリーがあります。 その土地活用のニーズが生まれた背景。その街のこと。 オーナーとの出会い。企画・開発にまつわるあれこれ。 創っていく中で生じたトラブルやドラマ、入居テナントとの巡り会い、 そして完成後、人や街に新たな「循環」が生まれていくということ。

「フィル・パークとは何なのか?、そしてフィル・カンパニーの仕事とは?」

それは、それぞれのフィル・パークにまつわるドラマティックな物語を紐解くことで、 自ずと見えてくるものなのです。 フィル・パークといえば1階に駐車場を内包した空中店舗が代名詞ですが、 築地にあるフィル・パーク新富町にはそれがありません。 ユーザーファーストを徹底して体現した象徴的なフィル・パークでもあるのです。

オーナーの中村氏と、フィル・カンパニーの能美、肥塚が思い出を振り返りました。

(中村)「駐車場って一番手軽でしょ。
でもそれ、一番面白くないなって思ってね」

(中村)うちは、築地では老舗の製造業を営むこの辺じゃちょっと有名な会社で、親会社を兄が、子会社を私がやってるんです。このフィル・パークが建っている場所はもともと自動車修理工場だったんですが、会社で買ったんですよね。「じゃあ何する?」って話し合った時に決まったのが、駐車場。

(肥塚)ここから300メートルくらい離れたところに「フィル・パーク築地」があるんですが、そこも中村社長からのご相談があった場所なんです。それから2、3年くらいたって、またご相談をいただいたんですよね。

(中村)また駐車場かよ、って(笑)まあ、駐車場って一番手軽でしょ。何もしなくてもお金入ってくるし。でもそれ、一番面白くないなって思ってね。「自分から提案させてくれ」って兄貴に話して、それでフィル・カンパニーさんに電話して。「築地よりちょっと大きいんだけど、見てくれる?短期で回収できないと了承してもらえないから、そういう案持って来てよ」って肥塚さんにお願いしたら、本当に上手に作って来てくれるわけですよ。

(肥塚)フィル・パークで3階より上にフロアを作ったのは、ここが初めてなんです。他は大体2、3階。でも中村社長、3軒目である程度信頼はしてもらってたのもあると思いますが、「6階建てにして本当にテナント付けてくれるの?」とか不安はなかったんですか?

(中村)いや、俺は肥塚くんがやってるんだから安心してたけど。

(肥塚)まあ、このフィル・パーク(新富町)の周辺って、同じようなテナントビルがないじゃないですか。需要はあるのは分かってたから、どうやって提供するかっていうのをすごく考えましたね。だけど、ここ12.5坪しかない。入居されるテナントさんにとっても魅力的な建物じゃないといけないから、エレベーター、階段、バルコニー…。一つ一つの位置にはこだわり抜きました。

(能美)「これぞフィル・パーク!って思ったね。
ユーザーファーストから導き出す、それがフィルですから」

(能美)相当頑張ってたよね。俺、パッと設計見て、「これ全く無駄ないじゃん!これは最高傑作だ!」って言ったもん。

(肥塚)褒められた記憶はないけど(笑)

(中村)俺はまずパースを見るところから始まるから、イメージはいいよね、と。ただオーナー的には貸せる面積が小さくなるというのは、それだけ収入が減るということで、思ったより狭いなとも思った。ただ、損益だけじゃないんですよ。この新富町のおとなしい街並みにバーンとフィル・パークが建つって面白いよね、お互い楽しみだよねってね。

(能美)「街のために」って思いがすごく強いですよね、中村社長は。うちも街に循環を作り出して変えていこうっていうメッセージ性を大切にしているし、「これぞフィル・パーク!」って思ったね。結局1階は駐車場にはなっていないけど、これがベストだったし、駐車場に固執はしない。ユーザーファーストから導き出す、それがフィルですから。

(中村)肥塚さん、アフターの部分も含めてしっかり見てくれてるよねぇ。うちのスタッフが厳しく当たっていくことがあっても、実直に対応してくれて。内心面倒くせえなあとか思ってるんだろうけど(笑)

(肥塚)まあ、やることやるのは当たり前というか、普通ですからね。

(能美)でも、この頃って僕らの至らないところもいっぱいあったんじゃないかな、って記憶もあるんですよね。時期的に。

(中村)至らなかったとは感じてないなあ。

(能美)まあ、それどころか、老舗のウナギ屋さんでご馳走してくれましたよね(笑)こういうの、アパートやマンション作ってたら生まれない関係かもしれないですね。僕としては「中村社長と肥塚が2人で紡いできた思い出」みたいな感じです。見ていて、ああ嬉しいな、育ててもらったなあって。やっぱり、若い子たちにも肥塚のようにチャンスをあげたいって思いますよ。本当の喜びって何?っていうのを知ってもらいたい。

(能美)「僕らは常にチャレンジしている自負がある。
やってることは泥臭いけど、続けていくことが大事」

(中村)駐車場って、駐車スペース以上の広がりが何もなくて。ここは色んな意味での人と人との繋がりが出来るでしょう。能美さんや肥塚さんとの関係もそう。それが俺は好きだな。

(肥塚)ただの駐車場だったら人が集まらないじゃないですか。ここは灯りがついて、人が集まって、商売する人がいて、収益を上げる人もいて。

(能美)だからフィル・パークは「循環を生み出す」ものなんですよね。結局、我々の精神に戻ってくる。駐車場は一時的な暫定活用の使命を果たすもので、それはそれでいいんです。でも人や経済の循環も生まれないし、真っ暗にもなっていく。土地や空間から何かを生み出そう!という挑戦が起こりにくい。そういった意味で僕らは常に「適切な街のにぎわい」を創るチャレンジをしている自負がありますよね。やってることは泥臭いことだけど、続けていくことが大事だし、オーダーしてくれる人がいる限り提供し続けたいなあって。

(肥塚)でもやるのは難しい。

(一同・笑)